前回の記事「PA目線で考える、ベースの音作り 前編」では音がどのようにPAに送られるかを上げ、それぞれの特色について説明しました。
今回はPAがどんなことを考えているのかに着目して、具体的にどんなことをすれば良いのかを考えていきます。
1. PAエンジニアが考えていること
PAエンジニアは
- 全体のバランス
- アーティストがどんな音をイメージしているか
を常に考えています。
ボリュームバランスはもちろんですが帯域をどう整理しまとめていくか、最終的にどんな音像にするのか、そこにどんな方法でアプローチしていくのかを考えています。
どんなにいい環境が揃っていても意図が伝わらなければ狙った音は出せません。
そのためには音や言葉でPAエンジニアとコミュニケーションをとっていく必要があります。
2.メインスピーカーとアンプ
2-1. チューニング
おそらくこれを見ているベーシストの殆どは最初はベースアンプで音を出したと思います、僕もそうです。
2-2. ベースアンプを置く意味
こうなってくるとベースアンプを置く意味を考えなければいけません。
答えは「音の共有」だと考えています。
ベースアンプがあることによって、どんな音をどんなバランスで鳴らすのかを伝えることができます。
これはステージ上のメンバーに限ったことでなく、PAエンジニアも同じです。
音がしっかり作られていて、それが機能していればPAエンジニアはそこに寄せた音作りをすることができます。
2-3. 音をどう伝えるか
どんな方法がベストなのかは会場によって異なりますが、多くの場合はアンプに入る手前にDIが用意されていると思います。
派手な音響効果を狙う場合など特殊な音作りが必要な場合はDIの手前にエフェクターを用意します。
上でも話したようにスピーカーにはそれぞれにチューニングが施されているわけですからどれだけ音を作りこんでいっても必ず同じ音が出せるわけではありませんし、最悪一番のキモとなる帯域を出せないなんてこともあります。
なので作りこむことも大事ですが、会場の鳴りに柔軟に対応できるかがキーポイントになってきます。
押さえておくポイントは
- 表現のキモとなる帯域
- アンサンブルでの音の立ち位置
だと考えています。
2-4. 表現のキモとなる帯域
これはシチュエーションによって様々ですので各々確認してください。
PAと共有する際に「ロー」や「トレブル」などざっくりした表現で伝える人もいますが、正確に伝えるためには不十分だと思っています。
例えば、ギタリストの言うローとベーシストの言うローは全く違います。
そこも含めてPAの腕かもしれませんが、「~Hz」と数値で伝えたほうが親切でしょう。
最初はミスリードをしてしまうこともあるかもしれませんが、謙虚な気持ちをもってコミュニケーションをとってかつ相手がまともなら建設的なやりとりができると思います。
3. 僕の話
僕はどうしているかというと、基本的にPAエンジニアさんにお任せしています。
僕もPAをやっているのでどんな処理をされるかは大体想像がつきますし、会場の鳴り方を一番知っているのはPAエンジニアだからです。
音楽的に必要なポイントを押さえて、そこを逸脱しそうな場合だけ意見をします。
持ち込むものもアンプやパライコ、楽器以外なにも持って行かないということも多いです。
ボードに頼る前に指先やボリューム、トーンポッドで表現をすることを大事にしています。
4. まとめ
記事を書いてわかったことは、「これ」という方法論はないんだなということでした。
考えてみれば当たり前で、どんな音が必要なのかは音楽のスタイルや会場の雰囲気、鳴りによって全く違います。
PA目線で問題に思うことはコミュニケーションの密度の薄さです。
それは口数の問題ではなく、自分の出したい音とアンサンブルに必要な音をきちんと理解しているかどうかということです。
楽器やエフェクターを含む機材は便利に設計されていて触ればすぐに音が変わり、好きなように音をつくれます。
でもそれは本当に出したい音を「理解している」ということなのでしょうか?
音楽的にどんな狙いがあってエフェクトを使っているのか、他の音と相対的にどんな立ち位置でありたいのかをきちんと説明できる人は意外と少ないように感じます。
最後に今すぐ実践できそうなことをピックアップします。
- 表現のキモとなる帯域を押さえる
- 柔軟に対応できる必要最低限の機材で臨む
- 帯域のやり取りは数値で
5. お仕事・レッスンの依頼
東京 池袋にてベースのレッスンを行っています。
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